いちばん観たくないものを自分でやってしまったとき

池内:欲をかいて失敗したことは何回かあったんですよ。

本田:視聴者数が増えない不安があって、アイドル的な人を出すのはどうだろうと安易に考え、ちょっと良さそうな人にあたってみようかなって。やったら失敗しましたね。やっぱり自分の気持ちが入らないのが大きかったと思います。あとね、大きな資本が出資してくれるという話があったんですよ。〝1000万くらいまで考える〟みたいな――。

永田:そういう話が向こうから来た?

池内:あれはフィッシング詐欺だよね。

本田:それでワクワクしちゃって。それで相手方のデカいビルに入っていって。

永田:ひとりですか?

本田:そのときは怖かったんで3人で行きました(笑)。それで「いっしょにイベントやりませんか」って言われて、やったんですね。でも、どうにもこうにも気持ちがかみ合わない。もうCDが売れない時代なのに、「CD。売っています」みたいなことをMCで全員で言ったり。〝なんか、これ、時代遅れじゃないかな……〟と、ただ、ただ疑問で。ふつうのライブイベントだったんですけど、何もかもがピンとこないというか、ジーンとこない感じで……。

永田:それは、キャスティングも先方がやって、とりあえず顔合わせで配信だけやるみたいな感じ?

本田:はい。それで後日、そのイベントからうちの番組に2組出せみたいな。おまけつきで。で、出ていただいたんですけど、今まででいちばん視聴率が良かったんですよ。1万人超えている。うわーやっぱりだと思って。だけどその1万人は番組のファンじゃなくて、その個人の方のファンですよね。だからその後、全然つづいていない……なんか……。

関口:わかった。俺が「セッキ―48」をつくっておくから。

本田:いらないよ!

池内:CGでメンバーをつくる。

関口:俺が48人いる。俺も観たくないよ、気持ち悪い。

本田:私も観たくないし、出さないよ(笑)。まあ、そんなことがあってキャスティングもこちらも情熱を注げる人を選ばないとやっぱりかみ合わなくて、互いに幸せになれないなと。私たちは、稼ぎたいという気持ちがあんまりないのかな。

関口:あるんじゃない。

本田:うん、あるはあるよね(笑)。お金は大事です。お金は欲しい。だけどお金を取りに行きたくないんですよね。信念を曲げずにお金を稼ぎたいみたいな(笑)。

関口:決めつけたくはないけど、お金や有名度と音楽の質や情熱はけっこう反比例しちゃうんだよね。

本田:本当に。それはしょうがないのかねえ(ため息)。でも、しょうがないとは言えないというか、言いたくないと言うか。

関口:まぜこぜにアイドル的な人を出すみたいなことしちゃうと、なんのために『MUSIC SHARE』やっているんだ、ってなっちゃうよね。

本田:そう。そのときカメラマンもブーブー文句言って〝なんで呼んだんですか?〟って。点数稼ぎたかったからです(笑)。でも正直、音楽も全然良いと思えなかったので辛かったです。もう2度とあれはやりません。

池内:話すのが本人なので、本人が興味ないとひどいことになるんです。「ああー、そうなんですかー、へー」みたいな(笑)。

本田:そう。いちばん観たくないのを自分でやることになるので、本当に辛いですよね。