育てるメディアとして。成長するメディアとして

F:『MUSIC SHARE』自体についている視聴者が多いのか、出演するアーティストが連れて来ている部分が多いのか、どんな感じですか?

本田:もちろんアーティストによって数字はバラバラですけど、ある一定数の視聴者の方は確実にいらっしゃって。

F:そうなってくるといいですよね。楽曲の配信サービスの会社って、世界中で星の数ほどある。WEBチャンネルでもそうだと思うんです。まあ日本だとWEBチャンネルや配信サービス、クラウドファンディングはアメリカほどはないかもしれないですけど。
結局、『MUSIC SHARE』だったら『MUSIC SHARE』、OTOTOYだったらOTOTOY、僕の会社だったら僕の会社、主催している会社自体がある程度の認知というかパワーを持たないと、ニッチのアーティストがニッチなままで、ただその人たちが乱立すると(いう状況になる)。
いや、別にそれがいけないといっているんじゃなくて〝育てる機能〟が全然備わってこないと思うんですよね。〝紹介する機能〟はいくらでもあるけど、その中で能動的にこっちが育てるという機能を持ち得るためには『MUSIC SHARE』自体がパワーを持たなければいけない。OTOTOY自体がパワーを持たなければいけないだろうし、僕もクラウドファンディング、〝あそこに行けば面白いものがある〟と認識してもらえる状況をつくれないと、アーティストのパワーに頼らざるを得なくなる。
それがこれからの在り方かもしれないから、パワーを持つことが良いことなのかどうか、なんとも言えないんですけどね。

関口:特定の人が観ていればいいというんだったら、番組化する冒険をしなかったわけですから、そういう意味では、おっしゃっるような必要性はありますね。アイデアありますか? たとえば『MUSIC SHARE』、こうしたらいいんじゃない?っていう。

F:僕もそこはすごく困っているところでして……。

本田:そこは気を配っているところでもあって。広げていきたいという気持ちでやっているので、地方に仲間をつくって立ち上げるのを支援したり、〝この番組は成長している〟と思ってもらえるようにしているところはあります。だから、なま暖かい目で見守ってくれている人がちょっとずつ増えているのかなと私は思っているんです。
確実に成長しているんです。最初、教室でやっていて、どんどん広がっている。それが目に見えるようにと、その辺は思っていますね。

F:業態が違うからなんとも言えないですけど、いろいろやられていることのうちのひとつが『MUSIC SHARE』であることが、すごい強みだと思うんですね。だからこそ好きなことができる。それがすごい好循環を生みますよね。好きなことをやっているから、視聴者は裏切られない。自分が満足できるものをさらに追及してほしいという視聴者と、自分が満足できるものを追及してやろうというつくり手のマッチングが完全になされているわけですから、すごい強いですよね。そういう立ち位置ってアリですよね。

本田:会社だったらと思うとゾッとするよね。みんなの生活がかかっていたら、やっぱりどこかでつくる方向性が変わっていくと思う。

関口:俺は個人的に両親からクレーム来ましたけどね。

本田:なんで?

関口:「いいから仕事しろよ。お前」って。

一同:(笑)。

本田:そこはもう仕事してください(笑)。でも、しているじゃん。

B:今、小学生でも「後ろで糸を引いている」と考える気がするんですよ。アイドルグループは好きだけど、誰か何か仕掛けたんだね、みたいな。それよりはもっと生の体験――生声がすごいとか――、手づくりでやっているというのが見える方が信じられる。『MUSIC SHARE』さんは、絶対に後ろに大手広告代理店なんかいないだろうと(笑)。

本田:別企画で持って行っただけなんで(笑)。

B:でも、小学生が「プロデューサーがさ――」っていうような時代になっちゃった中で、もっと生のものに触れたいと思う人はたくさんいると思うんです。

本田:そうですね。そういうことが増えましたもんね。今はミュージシャンからの応援の方が、多いかもしれないです。この番組に頑張ってもらわないとみたいな。出演者の結構な方が、「やっと(自分の番が)来た」「この番組がないと困る」と言ってくださいます。ゲストでご出演くださったマイカ・ルブテさんといっしょにご飯行ってバーッといっぱいしゃべったんですけど、前々から観てくれていて「こんなに愛を持ってつくってくれる番組は他にないから、好きな人がいっぱい出ているし、がんばって絶対つづけてください」「大変なんやで!」「わかってますよ!」って(笑)。

永田:今、1時間半くらいお話をうかがって、ものをつくることと、お金を回していくことのバランスをどうするかという永遠の命題みたいなものをちゃんと通っているし、音楽産業の何十年の歴史の中で繰り返してきた過ちの縮図みたいなことにもすでに足、突っ込んでいるじゃないですか。

一同:(笑)。

永田:LINEミュージック1回やっただけで、いきなりそういうコメントが来ることに今後どうしていくのかとか、ちゃんと考えている。でも、この顔ぶれ改めて見たら、間違ったところへ行くわけがないという感じがする。