ゲスト自己紹介(金野)2 「やるなんてまったく想像していなかった」

永田:金野さんご自身は音楽は昔から好きでずっと聞いていた?

金野:そうですね。

永田:さっきの職歴紹介のところで、これがみっつ目になると言われましたけど、ひとつめは――。

金野:人材派遣会社ですね。

永田:人材派遣からふたつ目のFrekul[フリクル]へ行こうというときに、もっと音楽と関わった仕事をしよう、みたいな意思があったんですか?

金野:就活の段階で音楽の方へ行こうと思ったんですけど、実際に働いている人から「つぶしが効かなくなるから1社目はやめろ」と言われまして。なので、どこに行っても通用する人材を輩出している会社に行こうということで人材派遣のゴリゴリの営業職みたいなところを最初に経験したという。で、そろそろ良いんじゃないかと思っていたときに、Frekulにお声がけいただいたので。

永田:なるほど。Frekulで働いたときに、もうごくごく近い将来、こういうことを始めようみたいなイメージがあったんですか?

金野:それはまったく想像していなかったですね。というのも、Frekulにいた1年間は、音楽業界のことがまったくわからない状態だったので。

永田:皆さんFrekulはご存知ですか? では、少し説明を――。

金野:そうですね。カラオケの配信を代行するなど、ミュージシャンのサポートサービスをする音楽配信サイトです。

永田:ドラマーの海保けんたろーさんが5年くらい前、ちょっとこうやって音楽シーンが混沌としてきた時期に、自分たちのバンドが中心になって、リスナーの方と直接つながれるような仕組みをつくれないかと考えられて試行錯誤して始められた。5年前ですから、そういうアクションを起こされた方の最初のひとりですね。いわゆるファンクラブとはちょっと違って、ネット上のゆるやかなつながりで会員を募ってメルマガを定期的に送るような仕組みだったりとか、そんなことだったのかな? じつは僕自身はあのサービスはよくわからないままで――。

一同:(笑)。

金野:いやでも、合っています。

永田:だいたい合っている? 最初の頃、月に1回、いろいろなミュージシャンを集めてイベントをやっていた。今日のこの場所は貸し会場なんですけど、僕が初めて来たのはそのイベントを1回のぞいてみようと思ったからです。まさにここでやっていたんですね。金野さんがFrekulにいらしたというのは、わりと最近知って。
金野さんの中でエージェント業に踏み出すという、一段階段を上がるきっかけはなんだったんでしょう?

金野:当時からブログを書いていて、それを読んでくれた大阪のレコードショップの方からalcottを紹介していただいた。彼らが神戸から東京までわざわざ来てくれたものですから、そこでいろいろと相談を受けて、そのとき「本腰を入れてやらなきゃ」と思ったんですね。

永田:それは去年ですか?

金野:ちょうどミュージックウィークエンドと同じくらいなので、2014年の秋くらいです。なので、依頼を受けたのがきっかけという感じですね。

永田:代理しているバンド、ミュージシャンが10組くらいいて、いちばん多い仕事はどのへんですか?

金野:主に2番と6番ですね。リリースは頻繁に書きますし、広告、YouTubeがやっぱり多いです。クラウドファンディングは2回目なので、けっこうな数ですよね。

永田:本人たちだけという方も、マネジメントスタッフがついている方もいらっしゃる?

金野:本人たちだけはひと組だけで、事務所に属しているのがよっつくらい。あとレーベル。ひと組がどっちもっていう感じですね。

永田:今日、来て下さった皆様の顔ぶれは、お顔がわかる方と、わからない方、ちょうど半々くらいですけど――、レーベルの方、アーティストの方、フリーライブ情報のサイトをつくっていらっしゃる方、ヨーロッパで活動してこられたクラシックの方もいらっしゃいます。すごくバリエーションに富んでいまして。

一同:(笑)。

永田:MCAっぽくてうれしいんですけど(笑)。ここから先は、お仕事の内容を深堀りしていったほうがいいですか? なんとなく話の前提となっていたので、ここまであまりお話ししなかったけど、これまでの音楽業界の在り方というのは、レコード会社と大きいプロダクションが対になって動かしていたところがあります。プロモーションに絡むことやコンサートのブッキング、管理系の仕事までを、オールインワンでメジャー・プロダクションなり、レーベルがやっていたんですね。宣伝部は、アルバムが出ると、どういうプロモーションをするか戦略を立てる。「今回はミュージジックステーションに出さなきゃ」というレベルから、ネット上のプロモーション、あるいはどこでどう告知するか、どんなフライヤーをつくろうかというレベルまで。それに対して、この数年、そういうことをインディーズのレーベルだったり、アーティスト本人がやっていく流れが出てきた。お金の管理も含めて。とはいえ、当然自分で広告の設定までできない。

金野:むずかしいかもしれないですね。

永田:ということで、ずいぶん前からみんなが切望していたのが、PRのエージェントだった。しかも業界ではなく、インディーズ規模でやっているアーティストの方を向いているPRエージェント。金野さんはそのところを具体的にして下さっています。
例えば、まさに先週、こんなことがありました。アート系のインスタレーションを中心にヨーロッパで活動されている日本人ミュージシャンの方の来日公演がありました。その公演の主催者の知人の方から、「(公演の)プロモーションしそこなっちゃったんだけどもっと美大生の方とか、若い大学生の方を呼びたいんだけど、何かできないか?」というご相談をいただきまして。MCAとしては、僕自身がたまたま先週は立て込んでおり何もできなかったことと、プロモーションの実務に関してはもっとフットワークが軽い人がいいなと思って、金野さんに相談したんですね。で、資料が不十分だったので、それをキチッとそろえるところから始めてくださって、ネット上での拡散まで実際に助けになって下さった。そういうことなんです。