業界のスタンダードから離れたところにある「音楽」

永田:少しずつまとめに入るんですが、おふたりの話を聞いていて僕も本当に勇気づけられるのは、Dさんのご質問にもあったんですけど、今までの業界のスタンダードの中だけで物を考えると、音楽が存在させられなくなっちゃうことって、すごく多いんですよね。たとえばプロモーションの予算にしても、ひとプロジェクト30万、50万とか、場合によると宣伝費が500万とか1000万というところで動いていたわけです。そういうプロジェクトはありつづければいいし、これからもあると思うんですけど、可能性が開かれているのは(そこまで資本が入らなくても)こうやって地元からアーティストが出てこられること、そして、地元のいろいろなところに様々な音楽が存在できることでしょう。
そこで努力しているレーベルやアーティストの方、彼らは3万、5万とか、すごくがんばっても10万しか予算がかけられない。でも、その中でできることって絶対あるんだということ。これまで業界がつくって来たのではないところで、音楽がもっと草の根で根付いていけば、すばらしいことです。
独立系のプロモーション会社とかエージェントを名乗っている人はたくさんいるんですけど、今日お招きしたおふたりは特に一番大切なミュージシャンに寄り添っていたり、音楽をちゃんと存在させようとする人を見て、彼らに対してできるところから始めていらっしゃる。

そういう意味で言うと、さっきご質問にあったように、弁護士にちょっと相談しただけであるキャリアの人だと4万、5万が時給換算で請求されちゃうというね。そういうところでバランスがとれているかというと、まったく取れていないんですね。そこは金野さんも、昼間の仕事をしながら――。

金野:そうですね。

永田:でも昼間の仕事が、キャリアを積んで行くことも含めて、エージェント業に返ってきているというか。

金野:はい。