ゲスト自己紹介(平田)4 自分たちが何をしたいのかわからなかったバンドの話。

平田:で、引っ越してから新潟県で頑張っている駆け出しの――オリジナルやり始めたくらいのバンドを集めて、無料のライブイベントを始めた。それが「エッグマシーン」(12年9月~)です。
「エッグマシーン」では毎月フリーライブをやります。それだけでなく永田さんの出されている本などを教科書に使わせていただいて、単純に技術的なことを教えるよりも、活動する上でどういうことを考えていかなければいけないかということを教えています。
自分がやっているとき、そういう知識がまったくなかったし、2年間くらいプロダクションにいたのですがとくに何かをしてもらったことはなかった。
自立しないと、うまくいかなくなったとき、耐えられないと思うんです。担当のマネージャーさんが病気で倒れられたという話を聞くこともありました。替わりの人が担当すると思うんですけど、そのとき、アーティストが自分自身が何をしたいかはっきり分かっていないと、路頭に迷う部分もあると思うんですよね。

大手事務所に所属していたバンドがいたんですが、契約が切れて困っていると聞いて、じゃあ助けるよと手を上げたことがあるんです。でも、自分たちで考えられないというか、アイデアが出てこない。いい曲を書けるし、アレンジもできるけど、何がしたいのかが出てこない。「自分たちがやりたいことは何か?」を考える能力、計画を組み立てる能力、できないところをアウトソーシングする発想とか、そういうのは(急に)持てと言われてもむずかしいでしょう。年をとれば考えも堅くなってしまう。若い時期から知っていた方がいいんじゃないかなと。
もともとサッカーの指導者になりたかったくらいなので、その仕事は自分にも合っていたと思います。
まあ、よくわからないで寝ていたりするんですけど(笑)。一生懸命起こして。本は表現がむずかしいじゃないですか。だから「平田さん、これちょっとむずかしいですよ」「うん、そうだよね。いや、これは例えばね――」「ああ、むずかしいか、そうか、これ、どういうことかな?」って、みんなでディスカッションして中身を理解してゆくという学校みたいな感じでやっています。それで、やっていた子たちが今、新潟の音楽コンテストでつづけて優勝してくれた。岩船くんもそのコンテストで優勝したひとりです。