「平田さん、この言葉だけは覚えておいて――」(永田)

平田:今各地域でコンテンツが不足しています。まず、新潟で活動するアーティストがいないんですね。良い音楽はつくっていてリリースはするけど、営業には出てこないとか。
新潟県は冬場雪に埋もれているぶん、暖かいときのお祭りがすごい多いんです。で、やっぱりそこに予算をかけるし、催しも面白いものをやりたいという思いがある。
そこで県外から有名な芸能人を呼ぶという手もあるんですけど、そこまでやると、ちょっと予算がかかりすぎるという微妙なラインがある。ウチはそこに思い切りはまるんですよね。だから、これからがんばっていきたい若手で、ギャランティもそれほど多くなくていいから、CDはその変わりにちゃんと売らせて下さいというような交渉ができる。
そうやってバランスをとっていくとけっこうみんな喜んでくれて話がすぐに決まる。地方だと地元出身の人を応援する風潮が根強いと思ったんですけど、質さえちゃんと保証すれば県外のアーティストでも応援してくれます。そういうところはチャレンジする価値があるなと思います。
経済活動としてのテンプレートがつくれたら、スポンサーを集めるとか、そこからつづけられるようにするのが僕らの仕事です。いわむロックFESTIVALは今年からスポンサーを取って来て、それでやりましょうということを提案して僕が取りに行っています。
業界から入っていないので、わからないなりにやって来た。筋を通さなければいけないって怒られたことはいっぱいあります。それは謝りに行きました。それで許してくれたり、くれなかったり――。

一同:(笑)。

平田:やっちゃったし、しょうがないです(笑)。でも僕は、がんばっている若手を応援したいという思いと、町の人たちがふだんから良い音楽に触れられるようにしようと思って行動して何が悪いんだっていう思いがありまして。ただ、だからといってそこに元からあった経済活動を奪うのも違うので、そこはすごい悩みながらやっています。
だいたい知らない間にそういう事態になっていて「おれのシマで、どうこう――」みたいな人と会うことになるんです。だから先に調べておいて、あ、この人先に言った方がいいかなという人には、みんなだいたいつながっているんで知り合いにこの人紹介していただけませんか?って。最近それを覚えんたんです、処世術というか……筋を通すことを。

一同:(笑)。

永田:それも決まったパイを奪い合うという話じゃなくて、平田さんが大きくしているというイメージですよね。いきなりは大きくはならないですけど――。

平田:はい。そうそう、大きくしないと! 永田さんが以前おっしゃってくれた「フェアーにシェアー、平田さん、この言葉だけ覚えて。間違いないから」というアドバイス――。

永田:俺、そんなこと言ったっけ?

平田:そうですよ! めっちゃ刺さりましたよ! 迷ったときは、あ、この判断違うって、戻すというか。それを指針にしてがんばっています。経験がないぶん、その判断が間違っていることもあるかもしれないけど基本的にはそれでやって。
あとは忘れっぽいので、先に謝る。名刺を渡すときに、すみません、物忘れが激しいので、
(もしお会いしていたら)それだけは本当にすみません!と(笑)。